「フィリピン留学の前にちゃんと勉強しておけばよかった」
この前、知り合いからそんな感想を聞きました。
その方は英語知識ゼロでセブに3ヶ月留学した経験のある方で、現在こちらで小さなビジネスを持っています。

私はこんな話を留学経験者から何度も聞いてきました。
せっかく留学したのに結局満足できるほど英語力が伸びなかったので、未だに正しくない英語を喋ってしまっていることを恥ずかしく思っているとのことです。
留学を検討している人に言いたいことがあります。
留学さえすれば英語が話せるようになると信じてフィリピン留学に来た人は 圧倒的に基礎力が足りません。

現地で少しずつ慣れる?甘い!!
大人の私達は圧倒的に留学期間だけじゃ時間が足りないですよ。
フィリピン留学は実践の訓練の場として活用すべきです。効率よく英語を習得しようと思ったら英語の基礎力が不可欠です。
そこで具体的に何を勉強しておくべきか、なぜその勉強が必要なのかを詳しく解説していきます。
なぜ日本人は英語が話せないのか?
まず、質問です。

皆さんは「なぜ日本人は英語が話せないのか」を考えたことがありますか?
学校での授業方法が間違っている、授業時間が短い。色んな理由は思い当たると思います。
英語と日本語が どのくらい違うのか 皆さんは考えたことがありますか?
専門用語で言語間距離というらしいですね。
項目 | 日本語 | 英語 |
---|---|---|
言語系統 | 孤立した言語(起源不明) | インド・ヨーロッパ語族(ゲルマン語派) |
文法構造 | SOV(主語-目的語-動詞)例:「私は寿司を食べる」 | SVO(主語-動詞-目的語)例:「I eat sushi」 |
表記体系 | 漢字・ひらがな・カタカナの三種 | アルファベット(26文字) |
発音とアクセント | 母音中心・音節構造が単純 | 子音の連続・強勢アクセント |
すべてにおいて 天地の差ほど違う と言っても過言ではありません。
アメリカ国務省の外交官養成機関(FSI)の研究によると、英語話者にとって最も習得が難しい言語は 日本語、中国語、アラビア語、韓国語で、習得には 約2200時間(約88週間/1年8ヶ月) はかかります。
英語とスペイン語は言語間距離がそれほど遠くないため、比較してみます。
項目 | スペイン語 | 英語 |
---|---|---|
言語系統 | インド・ヨーロッパ語族(ロマンス語派) | インド・ヨーロッパ語族(ゲルマン語派) |
文法構造 | SVO(主語-動詞-目的語)だが、動詞の活用が複雑 | SVO(主語-動詞-目的語) |
表記体系 | アルファベット(27文字、Ñを含む) | アルファベット(26文字) |
発音とアクセント | 母音が明瞭で、単語の発音が比較的一貫している | 子音の連続が多く、発音のバリエーションが豊富 |
違いはぶっちゃけ日本での沖縄、東北の方言のレベルと変わらない気がします。
私の知り合いのヨーロッパ出身者は、2、3カ国話せるのは当たり前です。言語間距離が近いからです。

多言語話者(一般的3言語以上を操る人)のことをpolyglotといいます。
また、ヨーロッパといえばお金持ちばかり住んでるイメージですがそうではありません。バルカン半島地域では比較的貧しい国もあります。
そのような国に生まれた人たちは他の国の言葉が話せないと出稼ぎに行けないのです。生活のために他言語を習得します。
格安オンライン英会話の教師にセルビア人(ヨーロッパ)がたくさんいるのはそのためです。
英語と日本語の具体的な違いを更に深堀り
日本人が足りてないのは勉強じゃなくて主に 練習 です。
英語と日本語では肺活量や顔の筋肉の使用量が違う
英語では強いアクセントや摩擦音(P, T, K, S, F)が度々登場します。正しい発音を意識して話したら、最初は日本語話者にとって 肺活量が足りなくて息切れするはず です。
また強い音を出すために、顔の筋肉も使用量が 2倍以上違います。
- 日本語:顔の筋肉の使用率 約20~30%(口の動きが小さく、表情筋の使用が少ない)
- 英語:顔の筋肉の使用率 約50~80%(唇・頬・ 舌を広範囲に使い、発音の明瞭さを保つために多くの筋肉を動かす)
筋肉や肺活量が向上しないと英語もまともに正しい発音で話せないはずです。
英語と日本語では音の周波数も違う
音の周波数 とは、1秒間に音波が振動する回数 を指します。
英語は筋肉の使用量も肺活量も違うことから、当然日本語とは音の周波数も違います。
- 日本語 125hz ~ 1500Hz
- 英語 2000hz ~
引用: 日本語の声域の周波数
人間の耳は、慣れ親しんだ周波数帯 に最適化されています。普段聞き慣れていない音は認識しづらくなります。
なので日本人にとって、英語は訓練しない限りは聞き取れなくて当然 なのです。
英語と日本語のかけ離れた文法
日本人が一番つまずくのが語順です。日本語は膠着語(こうちゃくご)といって語順が比較的自由です。
日本語 | 英語 |
---|---|
✅️ 私は寿司を食べる | ✅️ I eat sushi. |
✅️ 寿司を私は食べる | ❌️ Sushi, I eat. (※不自然な語順) |
文章の読み書きは問題ないはずです。
問題は会話です。自由気ままに話せる膠着語に慣れきった我々にとって、絶対に型から外れてはいけない英語の文法通りに話すことがめちゃくちゃ大変なのです。
英語は母音の数が多い
英語は日本語で俗に言う「あ」の 音だけでも5個以上あります。
- ankle(足首) → /ˈæŋ.kəl/(最初の母音は æ)
- uncle(おじさん) → /ˈʌŋ.kəl/(最初の母音は ʌ)
ノンネイティブは現在母語が持っている音に脳内変換してしまうのです。なので全部アンクルとなってしまいます。
和製英語の影響で間違ったインプット
プラス日本に氾濫した和製英語が英語学習者を苦しめます。
先日もキンダーガーデンと言って違うと指摘されました。正しくは kindergarten です。
キンダーガーデンはすでに和製英語として日本で定着しています。
kindergartenはドイツ発祥の言葉で「子どもの庭」なので意味的には遠からずですが、英語では通じません。
新たな発見です。地域によっては割と通じると言う話を記事化しています。
日本語の発音のクセと英語発音への影響
私達は普段自分たちの言語の特徴を意識して話している人はいませんよね?
日本語の特徴を知らずに英語のみがむしゃらに学習すると、知らず知らずそのくせが出てしまいます。
母音挿入
日本人の最大の英語発音での難関は母音を挿入してしまうことです。 我々の言語は主に母音を中心に構成されているので、ついそのくせが出てしまいます。
不必要な母音を入れるクセをやめる訓練が必要です。
- す・と・れ・い・と
5つの母音 - straight → /streɪt/
「eɪ」 の二重母音しか存在しない。
日本語の長音のクセ
日本語ではおうさま(王様)と書いても、実際には おおさま と発音します。
英語ではou
(オウ)とɔː
(オー)の発音を明確に分けますが、英語学習に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば
- go/gou/ → (和製英語ではゴー)
- no/nou/ → (和製英語ではノー)
気をつけないといけないのは、少し発音を間違えると違う意味になってしまうことです。
- boat /bout/(ボート) vs. bought /bɔːt/(買った)
- coat /kout/(コート) vs. caught /kɔːt/(捕まえた)
フィリピン留学は日本人にとって有効?

フィリピンに留学して英語喋れるようになるの?
結論から言うと私は有効だと思います。
理由は日本人は明らかに実践の練習不足だからです。英語での会話の練習をするには、フィリピン留学は安価ですし良い練習場所です。
ただし条件があります。知識ゼロだと、ぶっちゃけ効率よく習得はできません。

大人には子どものように自然に慣れて身につける時間がないので、知識と訓練でカバーするしかありません
フィリピン留学でできることは、実際に英語話者との会話を通じた訓練です。最低でも 基礎知識 がないと、ちょっと挨拶ができる程度で終わってしまいます。
- 英語と日本語では肺活量や顔の筋肉の使用量が違う
- 英語と日本語のかけ離れた文法
- 和製英語の影響で間違ったインプット
- 日本語の発音のクセと英語発音への影響
上記のなぜ日本人はなぜ英語が話せないのか?で列挙した理由のすべてをカバーするのは厳しいと思います。
そこで留学前に 1 〜 2 ヶ月でできるおすすめの学習すべきポイントをご紹介します。
発音記号を覚える
何よりもまず、IPA(国際音声記号) を覚えましょう。 英語部分のIPAを習得するだけなら、基本的なものは 1日 で覚えることも可能です。
IPAは、1886年に国際音声学協会によって作られました。 世界中の言語の発音を正確に記述するため、統一された表記体系として設計されました。
その後、言語学者の研究によって改訂が繰り返され、信頼性の高い音声表記システムとして確立されています。