
みなさん、朝が来るのは楽しみですか?それとも怖いですか?
かつて、朝が来るのが怖かったです。
実は私、40代で日本を飛び出し、海外で起業しました。

40代で海外移住、そして起業。聞こえはかっこいいでしょ?
でも中身はボロボロ。内心はプレッシャーでいっぱいでした。
一番ストレスから逃げるカンタンな方法がお酒を飲むことでした。かつて、安いジン(40度)を3日で空けるほどのハイペースで飲んでました。
ところが今は、酒を飲まなくても朝7時までぐっすり眠れるようになりました。
今日は、私のアルコール依存がドーパミン中毒が原因だったこと、そしてそれを断ち切るまでに整えた習慣をお話しします。

神守 由理子/フロントエンドエンジニア
起業の夢と酒の沼
セブに来たばかりの頃、私はビールを頻繁に飲んでました。若い頃からの飲酒習慣で休肝日は殆どとったことがありません。
アルコールはストレス発散の手段だった私がいかにお酒に沼っていったかお話します。
ゼロからの起業と重圧
2020年、フィリピンのロックダウン中に私は会社を立ち上げを決意しました。
資金繰りや案件獲得、慣れないクライアントとのやりとりに追われ、プレッシャーの連続でした。
さらに家計簿すらつけたことがない私にとって、経営は未知の世界。
経理に明るい優秀なビジネスパートナーがいても、日々のストレスは容赦なく積み重なっていきました。
夜明けが憂鬱だった日々
起業して何度もストレスのピークがありましたが、昨年は特に酷かったです。
2025年4月仕事の忙しさによる1度目のストレスのピーク、9月はビザ更新2度目のピークがありました。
フィリピンと言えば、日本の行政の対応とは雲泥の差。当時の私にはお酒無しではやり過ごせませんでした。
しかも、毎朝4時に目が覚めてしまう。 その瞬間は「まだ日は昇っていない」と少し安堵するけれど、時間が過ぎるにつれて空が明るくなり、憂鬱が押し寄せてくる。
もし朝が来れば、また、ストレスフルなやり取りが発生するでしょう。また、今日も書類が間に合わないかもしれない。更年期の影響も重なり、毎日が重苦しい夜明けでした。
身体の悲鳴・ジンと辛ラーメンの悪循環
昔からストレスが積み重なるほど、飲酒量は増える傾向にあります。
週に1本だったジンは、いつの間にか3日に1度のペースで空けるようになり、辛いもので憂鬱な気持ちを打ち消そうと辛ラーメンをよく食べていました。
酒と刺激物で一時的に心を麻痺させても、翌朝には腸の不調や憂鬱が押し寄せる。
それでも「逃げ場」として選んでしまう。そんな悪循環の中にいました。
腸が常に腫れているのでしょう。お腹の中がジクジク熱を持っているのを感じました。もちろん常に下痢。これが毎日でした。
自分を律することを始める
仕事もまともにこなすことも出来ず、さすがにこれではマズイと思い、何度かビジネスパートナーに相談しました。
「運動したら?自分を律することが大事だよ」
と言われました。
ある日美容院に行ったら後頭部に驚くほど白髪が増えてました。その三ヶ月前は「まだおしゃれ染めで十分ですよ」という会話をしたばかりでした。
食事もまともなものは食べてない。運動もしていない。ストレスも最高潮。更年期もあって精神状態も良くない。今考えたら白髪も増えて当たり前って言えば当たり前ですね。
もうやるしかない!とすがる思いでちょっとずつ運動を始めました。
習慣を組み替えて生き直す
最初は運動のみを始めたのですが、食事内容も見直すようになりました。
問題のひとつは、腸が腫れていると分かるほどのひどい下痢。腸内環境は明らかに悪い。そこで、手っ取り早く回復させたいと思い、11月からファスティングを始めました。
ここで心に変化がありました。
テーブルに腰掛け、食器に盛り、ランチョンマットを敷いて食べる。すると自然に食べ物への感謝が湧いてきました。
後ほどこれが「マインドフルイーティング」だと知りました。
マインドフルイーティングをする前の私は、秒で手に入る、ないしは辛さでストレスを緩和する食事をしていたことに気が付きました。
そしてこの気付きのお陰で、私がストレスから飲酒がやめられなかった正体を探るようになりました。
AIに聞いたり、動画を見て、本を読み、情報を集めました。
私は一時的な苦痛を和らげる脳内物質ドーパミンに依存していたと気づきました。
周囲に見たドーパミン依存の姿
48年も生きていると色んな人が周りにいます。
- 恋愛していないと落ち着かない人
- 不倫を含め複数の関係をやめられない人
- ストレス食いがやめられず摂食障害になる人
- お酒をやめられず命を落とした人
- SNSの「いいね」に依存して携帯を手放せない人
- オンラインゲームに高額な課金をする人
- ギャンブルで人生を破綻させた人
私も含め、共通点は ストレスから逃げるため のドーパミン依存。
ちなみに、TikTok、インスタリール、YouTubeの無限スクロールも立派なドーパミン依存です。
次こそ好みの動画が出てくるかもと脳は期待してドーパミンを放出する。気づけば、あなたも30分くらいの時間を余裕で 溶かして しまうでしょ?
ドーパミンの本来の役割
本来ドーパミンは、ご褒美を期待したときに分泌されるホルモンです。
古代、人類が鹿や猪を追っていた頃、狩りの成功を期待することで頑張り続けられるように働いていました。
農耕を始めた人類も、秋になれば収穫した新しい稲が食べられるというゴールを期待しました。 この期待によってドーパミンが分泌され、厳しい農作業を続けることができたのです。
今でも
- テストで100点取ったら、ゲーム機を買ってもらえる
- 毎日休みなく通学したら皆勤賞がもらえる
こうした「期待」がドーパミンを分泌させ、行動を続ける力になるのです。
ドーパミンは、人間が行動を続けて目標を達成するために重要な役割を果たす脳内物質です。
このドーパミンですが、問題点があります。
過剰に分泌され続けると、脳の受容体が次第に慣れてしまい感受性が低下します。
その結果、同じ刺激では満足できず、より強い刺激を求めるようになり、中毒化してしまうのです。
現代ではドーナツを買うのも、1000円札を握りしめてコンビニに行けば簡単に手に入ります。
しかし人類の歴史の大半は飢餓の時代であり、糖分や脂肪は最高のご褒美でした。
甘い砂糖は脳の報酬系を強く刺激し、一気にドーパミンが分泌されますが、その効果は一時的なものです。
しかも頻繁に繰り返せば、脳のドーパミン受容体が慣れてしまい感受性が低下します。
そのため快楽は薄れ、以前はドーナツ1個で満足していたのに、2個、3個と増えても満足できなくなる。
脳はさらに強い快楽を求め、摂取量がエスカレートしていくのです。
食べ物だけでなく、恋愛依存やギャンブル依存でも、脳の報酬系は同じように働きます。
どれも「快楽や報酬を期待する」ことでドーパミンが分泌され、行動を強化する仕組みなのです。
ちなみに「メンヘラ」と呼ばれる人の中には、アルコール依存・恋愛やセックス依存・摂食障害 を併発しているケースが少なくありません。
メンヘラ
「メンヘラ」とは、「メンタルヘルス(mental health)」が語源のインターネットスラングで、精神的に不安定になりやすく、かまってほしい・愛されたいという気持ちから周囲を振り回してしまうような行動をとる人を指す俗語です。
話を聞くと、彼女たちは子供の頃から強いストレスを抱えていることが多く、そうした背景が依存や情緒不安定につながっていると考えられます。
一流はドーパミンを味方にする
サッカー選手や野球選手など、世界で結果を出す一流の人たち。
彼らの言葉から垣間見えるのは、酒やギャンブルに依存せず、目標に一直線に向かう姿勢です。
私の知り合いに登録者10万人を突破したYouTuberがいます。
彼もまた、自分の目的や目標以外には脇目も振りません。
本来ドーパミンは「狩りが成功するまで頑張れる」ための物質。
彼らは祖先の狩猟と同じように、ドーパミンを依存ではなく 努力の報酬 に変えているのです。
一方で現代は、努力なしにドーパミンを放出できる環境があまりにも多い。
それこそが、中毒化を招いている原因だと思います。私は専門家ではありませんが、生活の中で実感していることです。
ドーパミン依存からの脱却
一流の話で前述した通り、ドーパミンは敵ではなく 使い方次第で強力な味方 になります。
まずは自分が「何」に依存していたか考察しました。
- お酒 ― ストレスを一時的に麻痺させるため
- 辛い食べ物 ― 憂鬱を刺激で打ち消すため
- デジタルコンテンツ ― 無限スクロールで時間を“溶かす”ため
こうして私は、依存を「努力の報酬」に置き換える方法を探し始めたのです。
スマホが時間を溶かす罠
ドーパミン中毒という言葉を知るまでは、自分がいかにSNSのスクロール中毒だったか気づきませんでした。
- 無意識に携帯を開いて、インスタやXを確認してしまう
- 数時間前の投稿にどんな反応がついたか気になる
- 誰が何を投稿しているかも気になって仕方ない
インスタリールやYouTubeショートを無限にスクロールして、気づけば30分どころか1時間が消えている。
まさに“時間を溶かす”瞬間です。
もし『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』や『ドーパミン中毒』という書籍に出会わなければ、私はこれを依存だと認識できなかったでしょう。
でも今なら分かります。これも立派な デジタル依存=ドーパミン中毒 なのです。
科学的裏付け
- 科学的に言えば、SNSや動画の無限スクロールは「変動報酬スケジュール(variable reward)」と呼ばれる仕組みで、脳の報酬系を強く刺激する。
- ドーパミンは「次に何が出てくるか分からない期待」で分泌されるため、スクロールが止められなくなる。
- これはギャンブル依存と同じ仕組みであり、科学的にも「デジタル依存=ドーパミン中毒」と説明できる。
時間を溶かさず努力で報酬を得る
ドーパミンは脳内で自然に合成・分泌される神経伝達物質です。
健康な人で自然な生活をしている限り、1日に分泌できる量には生理的な上限があります。
薬物(覚醒剤や一部の抗うつ薬など)を使わない限り、その自然な分泌量を大きく超えることはできません。
脳と薬物の基礎知識/法務省
吉田兼好法師の徒然草188段に「一事に励め」という言葉があります。
立派なお坊さんになりたかった若者が、乗馬や笛の練習ばかりに時間を費やし、肝心の修行に励めず結局お坊さんになれなかったという話です。
笛や乗馬でもドーパミンは出ていたでしょう。でも本来の目的である仏門の修行には活かされなかったのです。
現代は、この何百倍も簡単にドーパミンが出る環境があります。しかも無努力で。
スマホの無限スクロールなど、依存に陥る罠だらけです。
私は朝の散歩の後、カフェに行くのが日課です。以前はSNSのチェックをしていましたが、今は読書に置き換えました。
SNSのチェックは一瞬の快楽。本を読むのは最低でも2時間の充実。後者のほうがドーパミン放出までに時間がかかるため、依存になりづらいのです。
Netflixもやめました。ファスティングを始めて全く見なくなっていたことに気づいたからです。
以前は夜、Netflixを見ながら晩酌するのが日課でした。今は代わりにストレッチや瞑想。勉強系のYouTubeやブログで知識や気持ちを整理する時間に変わりました。
その分の課金も、娯楽ではなく Kindle Unlimited への投資に置き換えました。
溶かしている時間を有意義なものに置き換えるマインド
現代人ならSNSに最低30分は時間を溶かしていると思います。
- 筋トレ → ストレス耐性がつき、健康になる
- 読書 → 知識が身につき、新しい視点を得られる可能性がある
努力に付随するドーパミンは 「結果」とセット なので、生産性があります。
一方、SNSの無限スクロールはどうでしょうか?
一瞬の快楽は残るが、筋トレや読書のような成果は残りません。
だから私は筋トレやストレッチの時間を30分と決めています。
無駄に溶かした時間を、有意義な時間へと「投資」に置き換えているだけです。
まだ「いいね・コメント」が気になるのは課題。
だから緊急連絡以外の通知はすべて切りました。
こうして私は、ドーパミンを依存ではなく 努力の報酬に変える習慣 を少しずつ積み上げています。
まとめ:ドーパミン依存を習慣で超える
私はあくまでドーパミンが「悪」と言っているわけではありません。使い方次第で強力な味方になります。
経営や仕事のプレッシャーから強いお酒に逃げたこともありました。
そもそも私がそんな大変な思いをしてまでこのセブにいる理由は、ここに ビジネスがあるから です。しかも私が始めたことです。
- 失敗したらどうしよう
- 周りにがっかりされたらどうしよう
- 宣言したことが出来てない。情けない
- 資金繰りが上手くいかなくなったら怖い
- 会社勤めじゃないし老後が不安
こうした不安は今も頭の中をグルグル巡っています。習慣を変えても、共存は続いています。
大事なのは、自分がどんな状況にいるのかを理解すること。
読書や動画、AIを通じて自分の状況を考察して分かったのは、ストレスに立ち向かう必要はないということ。
努力のないドーパミン放出 は一時的な癒しになるけど ストレスそのものを解決できない のです。
最近は「絶対成功してやろう」と意気込まず肩の力を抜き、とにかく今の仕事にフォーカスするようにしています。
なくならないストレスなら、運動で 自分を律する訓練 をして耐性をつけたほうが合理的です。
仕事のプロジェクトもフィリピンの面倒な事務処理も、一個単位で見ればいずれ終わります。
終わるたびにドーパミンを出すように仕向けたほうが健全です。
まだSNSの中毒や課題は残っています。現代社会では完全な脱却は不可能かもしれません。
それでも、ここまで掘り下げて可能な限り排除しただけで、未来の行動は必ず変わると信じています。

今日、あなたはどんな時間を溶かしましたか?その30分を、努力の報酬 に置き換えてみませんか。
この記事がみなさんにとっての一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


